正しく知ろう!活断層Q&A

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活断層Q&A

用語の定義について

Q1.
「活断層」とは何ですか? 「起震断層」「地震断層」「震源断層」という言葉もあるようですが、どう違いますか?
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Q2.
そもそも「断層」とは何ですか? どのようにできるのですか?
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Q3.
活断層の個別の名称はどのように決めているのですか?
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Q4.
「断層帯」とは何ですか? その範囲はどのように決めているのですか? 「断層群」や「断層系」という言葉を聞いたことがありますが、言葉の定義の違いはあるのですか?
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Q5.
撓曲(とうきょく)とは何ですか?
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Q6.
リニアメントとは何ですか?
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Q7.
「推定活断層」とは何ですか? 確定していないものまで示すのはなぜですか?
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メカニズムについて

Q8.
「横ずれ断層」はなぜ起きるのですか? 逆断層や正断層とは何が違うのですか?
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Q9.
活断層による直下地震が起きると海溝型地震が起こりやすくなるなどの関係はありますか?
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Q10.
活断層の地震は連鎖するのでしょうか?
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Q11.
「前震」「本震」「余震」とは何ですか?熊本地震で話題になった「前震」は珍しいことですか?
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Q12.
地震の大きさは断層とどのように関係しますか?
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Q13.
地震の際に生じる地面のずれはすべて活断層ですか?
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Q14.
海溝型地震と活断層型地震の違いは何ですか?
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地震への備えについて

Q15.
活断層地震が想定される場合、どんな対策をすればよいのですか?
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Q16.
活断層の真上を避ければ建物を建てても大丈夫ですか?活断層からどれだけ離れれば、家を建てても安全ですか?
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Q17.
活断層が見つかっていない場所でも強い地震は起こるし、活断層が新たに生じることもあるでしょうから、既に分かっている活断層にだけ備えても意味が無いのではないでしょうか?
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法令や制度について

Q18.
活断層の上には建物を建ててはいけないという法律や条例などはありますか?
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Q19.
地価が下がったりするので、活断層の位置の情報を公表しないでほしいという意見も聞かれますが、それでもなぜ公表するのですか?
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その他

Q20.
活断層地震の経験者の体験談について、書籍等にまとめられたものはありますか?
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Q21.
活断層の展示や事例紹介を観る場所はありますか?
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活断層Q&A(回答編)

Q1.
「活断層」とは何ですか? 「起震断層」「地震断層」「震源断層」という言葉もあるようですが、どう違いますか?
A1.
「活断層」とは、最近の数十万年間に繰り返し活動するなど、将来も活動すると考えられる断層のことです。一つ一つの活断層に注目して将来の地震を予測する際、まとまって1つの地震を発生させる可能性が高い断層のグループのことを「起震断層」と呼ぶことがあります。
一方、「地震断層」と「震源断層」は地震が起きた際の現象を表現する言葉です。「地震断層」は、地震時に地表に現れて目撃される地表のずれで、「地表地震断層」とも言います。地下深部で生じるずれについては「震源断層」と呼びます。

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最近数十万年間という時代は、今とプレートの動きなどがほぼ同じと考えられる時代なので、その頃に繰り返し動いていれば、今後も動く可能性が高いという考えに基づいて、活断層が定義されています。活断層は、単独で活動したり、いくつかの断層が同時に活動したりします。
地震断層と震源断層の関係は議論になります。震源断層が直接地表に現れたものを「地震断層」として注目されますが、地震断層は震源断層よりも古くからある概念で、震源断層とは直接つながらない間接的なものも含めて広義に地震断層と呼ぶこともあります。

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Q2.
そもそも「断層」とは何ですか? どのようにできるのですか?
A2.
「断層」とは、地球の表面を覆う岩盤(地殻)が割れて生じた地層のずれのことです。ずれる境界面を断層面と呼び、断層面に沿ってずれ動く現象を断層運動と言います。地殻には、プレート運動や火山活動などの要因により力(応力)が作用し、この力によって、地層にずれが生じると考えられています。

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地下の地層や岩盤の中にはたくさんの割れ目があります。通常、この割れ目はお互いしっかりかみ合っていますが、ここに「大きな力」が加えられると、割れ目が再び壊れてずれます。この壊れてずれる現象を「断層」活動といいます。そして「断層」のうち、特に数十万年前以降に繰り返し活動するなど、将来も活動すると考えられる断層のことを「活断層」と呼んでいます(第四紀(260万年前以後)中に活動した証拠のある断層すべてを「活断層」と呼ぶこともあります)。
地殻に作用する力(応力)の向きは、その要因であるプレート運動や火山活動などが大きく変化しない時代においてはほぼ一定です。そのため、個々の断層は同様の断層運動を繰り返し、応力の向きと断層の延びる方向との関係から、将来断層が右に動くか左に動くか、どちらが隆起するかなどを予測することができるため、地震防災の有益な情報となります。

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Q3.
活断層の個別の名称はどのように決めているのですか?
A3.
断層がある(と想定されている)地域の地名や、断層が地表に現れた地域の地名を付けています。断層が連続している(と考えられる)場合は地名を並べ「○○-●●断層」とつける場合もあります。近接して帯状に分布している場合「△△断層帯」としてまとめることもあります。研究者はこのほか、断層群や断層系といった呼び方をすることもあるようです。

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断層は古くから地質学や地形学の分野で研究されてきました。現地調査などによって徐々に見つかってきて、その都度、研究者が命名して論文などに記されてきました。その過程で別々の断層として命名されていたものが実はつながっていたということも分かったりして、名称が変更されることもありました。基本的には先に命名されているものが尊重されてきましたが、改名せざるを得ない場合もあります。このように名称は歴史的な産物でもあり、断層の名称をどのようなルールでつけるかは、明確には決まっていません。

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Q4.
「断層帯」とは何ですか? その範囲はどのように決めているのですか? 「断層群」や「断層系」という言葉を聞いたことがありますが、言葉の定義の違いはあるのですか?
A4.
「断層帯」は、同時に大きな地震を起こす可能性のある断層のグループのことを言います。この「断層帯」という概念は、1995年に地震調査研究本部が発足し、将来の地震発生を予測しようという取り組みの中で生まれました。一方、古くから研究者は、複数の断層からなる場合に「断層群」と呼んだり、同時に活動すると考えられる場合には「断層系」と呼んだりしてきました。

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同じ応力によって生じた隣接する断層が帯状に連なるものに注目しています。これらは同時に活動して地震を起こすかもしれないと考えられるからです。「断層群」や「断層系」も、1つのグループとみなすことができる断層を指しますが、地震調査研究推進本部の地震動予測地図では、複数の断層帯をまとめて「断層群」と呼んでいるものもあります。用語の使い方はやや曖昧に扱われているようです。

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Q5.
撓曲(とうきょく)とは何ですか?
A5.
地層が落差を持って撓んでいる現象を撓曲と呼びます。もともと水平もしくは緩傾斜であった地層が地殻変動の影響で急傾斜になっています。その原因は地下深くで断層が動いた際に、地表面が厚い沖積層(未固結の柔らかい堆積物)で覆われていると、段差ではなく「たわみ」として現れやすいということにあります。

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広い平野では大きな河川の氾濫原からできているので、河川により運ばれた土砂が厚く堆積しています。このような平野では、固結した岩盤は地下深部にあります。断層はこの地下深部の岩盤を大きく動かしますが、岩盤の上に厚く堆積した未固結の柔らかい地盤は、岩盤での変形を吸収するため、地盤のずれは徐々に少なくなっていき、地表近くではほとんど段差が見られなくなってしまうこともあります。
また、地下の断層が活断層であると繰り返し活動するので、地表で確認される現象は「活撓曲」とも呼ばれます。

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Q6.
リニアメントとは何ですか?
A6.
空中写真や衛星画像などを見たとき、地形の起伏や、植生や土壌の分布に直線的な模様が認められる場合があり、これをリニアメント(線状構造)と言います。リニアメントに注目することにより、活断層の活動によって生成された崖等、いわゆる断層地形の発見に繋がる場合があります。

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分かりやすいリニアメントの事例としては「中央構造線」があります。中央構造線は日本最大級の断層といわれており、九州地方から関東地方にかけて日本を横断しています。この中でも、四国地方の北部を東西に走る線形は、衛星画像からでも明瞭に読み取ることができます。
リニアメントの検出手法としては、航空写真や衛星画像から地形の特徴を直接的に判読する手法の他、航空レーザー測量によって植生下の正確な地形データを取得・解析することで、写真などでは判り難いリニアメントを検出する手法等も検討されています。
リニアメントは、断層以外の要因に由来する場合や、偶発的に構成される場合もあり、全てのリニアメントが活断層の存在と関係するわけではありませんが、前述のような手法により、現地に赴くことなく広域にわたって断層地形を推定することができる重要なヒントであると考えられています。

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Q7.
「推定活断層」とは何ですか? 確定していないものまで示すのはなぜですか?
A7.
今後、地震を起こす可能性のある活断層の存在が推定はされるが、資料が少なく、詳しく調査をしない限り、明確に存在や場所を特定できないものを「推定活断層」と呼びます。東日本大震災の教訓を踏まえれば、防災において科学の限界を考慮することは必要で、リスクをもたらす可能性を示すものとして、重要な情報源の一つとして考えられています。

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推定活断層にはいくつかの種類があります。第一は、断層の存在は分かっているがそれが「活」かどうかが分からない場合。第二は、地形の成因論から活断層の可能性が推定されるが、断層の存在は未確認の場合、第三は、既往のボーリングや物理探査によりその存在が推定されても、新しい地層に厚く覆われるなどの理由で直接的な証拠が得にくい場合などです。
推定活断層が今後、地震を起こす可能性があるかどうかは断言できません。詳しく調査をすれば、分かる部分もあると考えられていますが、一つ一つの断層の調査には多大な時間を必要とするため、地道な調査が必要になるというのが現状です。確実に活断層が存在することが分からなければ対策できないという意見もあるかもしれませんが、リスクの可能性を無視することは「想定外」の災害を招きかねないため、防災を考える上での重要な情報の一つとしてとらえる必要があります。 推定活断層は国土地理院の活断層図で大都市およびその周辺について、2万5千分の1の縮尺により確認することができます。

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Q8.
「横ずれ断層」はなぜ起きるのですか? 逆断層や正断層とは何が違うのですか?
A8.
大地の中にある古傷(断層)に加わる力のかかる向きと断層の伸びる方向が斜めだと、断層は横方向にずれて「横ずれ断層」が生じ、直交方向だと上下にずれて「縦ずれ断層(逆断層や正断層)」が生じます。

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日本列島は大昔から激しい地殻変動にさらされてきたため、大地の中には古傷(断層)がたくさんあります。そこに力が加わることで一部の断層は、最近も時々ずれて地震を起こしますが、その際に力がかかる向きと断層の伸びる方向が斜めだと、断層は横方向にもずれることになります。これを横ずれ断層と呼びます。一方、両者の向きが直交すると上下にしかずれず、縦ずれ断層と呼ばれます。横ずれも縦ずれも断層直上では地面が切れ、また周辺では強い揺れが起こりますから、被害の面ではさほど大きく変わりません。大地にかかる力は場所ごとに決まっていますから、力の向きと断層の伸びる方向が分かれば、将来断層がどのように動くかは分かります。そのことを考慮に入れた地震防災は重要です。2002年アラスカのデナリ地震では、横ずれ断層を横断するガスパイプラインが、横滑りできるようにレールを敷いて建設されていたために切れずに済みました。

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Q9.
活断層による直下地震が起きると海溝型地震が起こりやすくなるなどの関係はありますか?
A9.
直下型地震と海溝型地震の因果関係は分かっていません。ただし、特に西日本では、南海トラフ地震が起きる数十年前から十年後までの約50年間、内陸の直下型地震が頻発する傾向があり、それが過去4世紀にわたって繰り返してきました。したがって概ね50年ごとの活動期と静穏期があるという見方があります。

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1995年以降、西日本は次の南海トラフ地震に向かう活動期に入ったとも言われています。歴史的に見れば数十年間という時間の中で何らかの関係がありそうで、東日本大震災以前の十年間も東日本で直下型地震の数が増えていました。しかしメカニズムが解明されているわけではありません。一方、東日本大震災以後、東日本では余震と見られる直下型地震が多発しました。海溝型地震によって不安定化した地域で直下型地震が起きやすくなるということは十分に考えられます。

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Q10.
活断層の地震は連鎖するのでしょうか?
A10.
活断層の地震が連鎖する可能性について判断することは難しいのが現状です。ただし、長大な活断層のうちの一部だけが活動した場合には、その延長部が引き続き活動する可能性には留意する必要があります。

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16世紀末に、阪神地域から淡路島を経て、四国にかけて伸びる一連の活断層沿いで次々に地震が起きたことが知られています。しかし、海溝型地震に比べると直下型地震は規模(マグニチュード)が小さいため、離れた位置にある別の活断層までを連鎖的に動かすかどうかは疑問があります。それでも周辺地域のバランスをある程度は不安定化させるため、連鎖が起きないとは言えません。1586年の天正地震はマグニチュード8と大きく、その際には岐阜県内の複数の活断層が立て続けに活動した可能性が指摘されています。

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Q11.
「前震」「本震」「余震」とは何ですか?熊本地震で話題になった「前震」は珍しいことですか?
A11.
一連の地震のうち最大のものを「本震」と呼び、その前の地震を「前震」、後の地震を「余震」と言います。歴史を遡ると、江戸時代以降の直下型地震の約半数は前震を伴っていたとされており、決して珍しい現象ではありません。

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前震・本震・余震の区別は一連の地震が起きてからしかできません。2016年の熊本地震は前震があって話題になりました。しかもその前震が比較的大きく、一部地域で震度7を観測しました。こうしたことは最近起こっていませんでしたが、歴史を遡ると、江戸時代以降の直下型地震の約半数は前震を伴っていたとされています。1854年伊賀上野地震、1891年濃尾地震、1945年三河地震は前震を伴い、前震に怯えて屋外に筵を敷いて寝ていた人たちが本震の被害を免れたことが言い伝えられています。比較的大規模な活断層上でマグニチュード5~6程度の地震が起きた場合には、そもそもそこではマグニチュード7以上の地震も起き得ることに留意して、さらに大きな地震が起きるかもしれないと考える必要があります。そのことは熊本地震の重要な教訓のひとつです。

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Q12.
地震の大きさは断層とどのように関係しますか?
A12.
地震のエネルギーの大きさは、断層面の面積(幅×長さ)と断層がずれ動く長さに比例します。これを表す指標が「マグニチュード」で、地震後すぐに地震計の揺れから計算される「気象庁マグニチュード」や、後になって地殻変動量などから計算される「モーメントマグニチュード」などがあります。

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マグニチュード(地震そのものの大きさ)とは違い、揺れの大きさを示す指標が「震度」です。マグニチュードの小さい地震でも、震源からの距離が近いと大きく揺れ「震度」は大きくなります。逆に、マグニチュードの大きい地震でも震源から距離が遠い場合には地面の揺れはあまりなく「震度」は小さくなります。

  • 震度:ある大きさの地震が起きた際の、私たちが生活している場所での揺れの大きさのことを表します。日本では気象庁が10階級(0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7)に分けたものが使われています。震度計は全国約4,400地点に設置されています。
  • マグニチュード:地震そのものの大きさ(規模)を表します。マグニチュードは1増えると、地震のエネルギーが約32倍になります。
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    Q13.
    地震の際に生じる地面のずれはすべて活断層ですか?
    A13.
    地震の際に生じる地表のずれはすべてが活断層というわけではありません。地すべりなどに伴って生じたものと、地震そのものの原因である断層の表れかを区別する必要があります。

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    地層が浸食されたり傾いたりして、連続していないように見える場合や、火山岩の噴出や堆積によって食い違って見える場合は、ずれは生じていないので断層ではありません。このような地層の食い違いは不整合あるいは非整合と呼ばれています。

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    Q14.
    海溝型地震と活断層型地震の違いは何ですか?
    A14.
    海溝型地震はプレート境界の海溝やトラフ付近で起こる地震で、数十年~数百年の間隔で発生します。一方、活断層型地震は、陸のプレート内部で断層がずれて起こる地震で、発生間隔はおよそ千年以上です。しかし活断層は数が多いので、例えば50人以上が亡くなる地震の頻度は、海溝型で約20年に一度であるのに対して、活断層型地震では約10年に一度です。

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    地球の表面は、十数枚の「プレート」と呼ばれる板状の岩盤に覆われており、このうち日本列島は陸と海の4枚のプレートがぶつかり合っている場所にあります。海のプレートは日本列島がのっている陸のプレートの下に、太平洋沖合の海溝やトラフと呼ばれるプレート境界から沈み込んでいます。海溝型地震はこうした沈み込みに伴って、プレート境界や、海のプレート内部で起こる地震のことです。
    海溝型地震は、2011年に東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震を始め、多くはマグニチュード8級以上の巨大地震です。地震の規模が大きく、広い範囲が強い揺れに見舞われるため、広域大規模災害になる可能性があります。海域で地震が起こるため、巨大津波の発生を考え、揺れを感じたら直ちに高台など安全な場所へ避難することが極めて重要です。
    一方、プレート運動に伴って陸のプレート内部に力が加わり、それが限界に達すると活断層のような地殻内の弱い部分で急激なずれが起こります。これが活断層型地震とよばれるもので、深さがおおむね30kmよりも浅い地殻内で発生します。代表的なものには1995年の阪神大震災を引き起こした兵庫県南部地震(M7.3)や2016年の熊本地震(M7.3)があります。地震の規模は一般に海溝型地震に比べると一回り小さいため、被災範囲は広くありません。しかし、地震が足元で発生するため、ずれた断層の直上付近では激しい揺れに襲われ、建物の倒壊や土砂崩れなど甚大な被害を引き起こす恐れがあります。

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    Q15.
    活断層地震が想定される場合、どんな対策をすればよいのですか?
    A15.
    活断層で起きる地震は、発生の間隔が長いですが、地震が発生すれば甚大な影響を及ぼす可能性があります。また、活断層地震は,震源が陸域にある場合が多く、震源との位置関係によっては、緊急地震速報が間に合わない場合も想定されます。被害を減らすためにも、日ごろから建物の耐震補強や家具の固定といった対策を行っていただくことが重要です。

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    兵庫県南部地震や熊本地震では、強く揺れた時間は約10秒でした。P波もS波もほぼ同時期に来ますから、身構える間もありません。また、海溝型地震よりも建物を倒壊させやすい特徴的な揺れが起こりやすいという特徴もあります。兵庫県南部地震では犠牲者の約9割は建物の下敷きで亡くなり、そのうちさらに9割の方は即死でした。この点に限って言えば、緊急救助をいくら頑張ってもこの被害は減らせません。日頃の備えしか対策はありません。

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    Q16.
    活断層の真上を避ければ建物を建てても大丈夫ですか?活断層からどれだけ離れれば、家を建てても安全ですか?
    A16.
    活断層に近い場所では強い揺れと地盤のずれによって被害が大きくなります。揺れについては断層からの距離だけでなく、地盤等の影響を強く受けるので、どれだけ離れていれば大丈夫ということは一概には言えません。しかし、活断層のずれによって建物が引き裂かれたり傾いたりする被害は、断層の真上に集中します。

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    地震の揺れは地下数kmより深い場所からも発生するため、地表での強い揺れは活断層の真上だけではなく、比較的広い範囲で起こります。また、活断層から離れていても、地盤の悪い場所ではより大きく揺れることもあります。熊本地震では断層から数百mの範囲で特に激しく揺れました。しかし断層近くでもさほど揺れなかった場所もあり、その原因は必ずしも明らかではありません。
    一方、活断層のずれによる被害は断層の真上付近で集中的に起こっています。ごく希に断層のずれが数cmで、強固な基礎の低層建物が壊れなかった場合もありますが、だからといって大丈夫とは言えないでしょう。

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    Q17.
    活断層が見つかっていない場所でも強い地震は起こるし、活断層が新たに生じることもあるでしょうから、既に分かっている活断層にだけ備えても意味が無いのではないでしょうか?
    A17.
    活断層が見つかっていない場所でもこれまでに震度5強から6弱程度の地震が起き、震源地付近では大きな被害が出ています。そのため活断層が見つかっていない場所でも強い地震に対する備えは怠らないようにしないといけません。しかし、こうした地震に比べて、明瞭な活断層が存在する場所で起きる地震(熊本地震や兵庫県南部地震など)は、より大きな被害を出しています。したがって活断層の存在が分かっているということには重要な防災上の意義があります。

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    活断層が見つかっていない場所でも直下型地震は起きますが、その規模がマグニチュード7に達した例はほとんど知られておらず、最大震度は6弱程度です。それに対して明瞭な活断層が存在する場所で起きる地震はマグニチュード7を超え、最大震度も7に達する場合があります。被害の大きさも格段に大きくなり、熊本地震では、耐震基準を満たしている建物でも、接合部の施工不良や隣接建物の倒壊などにより倒れた例があります。

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    Q18.
    活断層の上には建物を建ててはいけないという法律や条例などはありますか?
    A18.
    日本においては、個人の住宅を活断層の上に建物を建ててはいけないという法律や条例はありません。また、原子力発電所等の重要施設以外はいかなる建物も禁止はされていません。一方、調査を求めたり、公的建物については規制しようという、地方における条例制定の例はあります。

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  • 徳島県の例(条例):一定の区域内で特定の施設の新築等を行う方は、あらかじめ、県へ届出・協議をしてから、ご自身で活断層の調査を行い、「活断層の直上を避けて新築等」をしていただくことと定められています。
  • 福岡市の例(条例):「警固断層」に着目した建築物の耐震対策として、設計地震力の基準を上乗せして構造計算を行うよう努めなければならないと定められています。
  • 兵庫県西宮市の例(条例):一定規模の開発事業については、市が作成した地質活断層図又は国土地理院が作成した都市圏活断層図に記載されている活断層線による影響を受ける恐れがある場合、地質調査を行う必要があるとされています。
  • 神奈川県横須賀市の例(指針):大規模な開発行為、不特定多数の市民が利用する大規模建築物や公共建築物の建築などについて、活断層上やその周辺での立地を抑制するための基準等を設けています。「野比東ノ入公園」は、開発時に建築敷地として利用できない活断層上の土地を公園として利用した全国で初めての事例です。
  • 原子炉等の重要施設については、国の規制において、活断層の直上に建てることが認められていません。
  • ダムについてもダムサイトは活断層直上を避けることとされています。
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    Q19.
    地価が下がったりするので、活断層の位置の情報を公表しないでほしいという意見も聞かれますが、それでもなぜ公表するのですか?
    A19.
    活断層の情報を知ることによって、防災意識を高め、地域のリスクを見据えて対策に向き合い、住宅の耐震化などにより自らの生活をより安全なものにすることが重要です。災害リスク情報が地価に影響を与えることへの懸念は昔から言われていますが、活断層以外にも洪水や火山噴火、土砂災害等多くの情報が既に出されているのが現状です。

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    「活断層がどこにあるか」は、活断層を調査するにしても、警戒するにしても、また対策を議論するにしても、最初に必要不可欠な情報であり、これを公開しないことには何も始まりません。活断層の詳細な位置が公表されることで、被害予測や活断層の位置を考慮に入れた都市や地域の設計が初めて可能になります。
    活断層沿いに住む方にとっては、不利益な情報と受け取られるかもしれませんが、この情報によって改めて防災意識を高め、住宅の耐震化などにより、自らの生活をより安全なものにできれば、結果的に有能な情報になるはずです。

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    Q20.
    活断層地震の経験者の体験談について、書籍等にまとめられたものはありますか?
    A20.
    災害教訓を後世に伝える取り組みは、阪神大震災以降に注目を集めるようになり、内閣府も災害教訓の取り纏めをしています。これに先立ち、1945年の三河地震については早くから体験談を集める取り組みがありました。

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  • 内閣府の災害教訓の継承に関する専門調査会
  • 昭和49年西尾市総務部管理課地震対策係による「東南海地震・三河地震体験談集」
  • 昭和52年「わすれじの記 : 三河地震による形原の被災記録」三河地震記念事業奉賛会, 1977.9
  • 「平成7年度幸田町地震対策基礎調査報告書」
    以下にその一部を紹介します。
    ・ 大きな地震では、戸を開けて外に出るのは困難だと思いますので、入口の台の下に隠れて、おさまり次第外に出たほうが良いと思います。災害後の火の元と隣近所の安全確認、助け合いが特に大切だと思います。(男性、68才)
    ・ 現在の日高医院前の深溝西浦線の道路に、1メートル以上の段差ができていた記憶がある。(女性、86才)
    ・ 三河地震については、10才の子どもでしたが、前日から予兆があり野場の駐在の前の告知板に、「海の水のにごりが見られた」。その夜は、モンペ、靴下などを着けて寝たと思う。夜中に一度、「まだ地震がこない」と言って母を起こした。(女性、60才)
    ・ 地鳴りの後すぐ2~3秒後に地震がありました。(男、69才)
    ・ 東南海地震のときは(S19.12.7)、田んぼで春蒔きをしていて大きなゆれが3回くらい続けてあり~略~。とても暖かい静かな日でした。災害は突然くる事なので対策をいろいろ考えておくことはとても大事なことだと思います。(女性、69才)
    ・ 地震後寒風の中、1週間くらい戸外で寝た。頻繁に余震が発生していた。(男性、63才)
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    Q21.
    活断層の展示や事例紹介を観る場所はありますか?
    A21.
    1891年(明治24年)の濃尾地震の際に地表に現れた根尾谷断層は、国の特別天然記念物として今も保存されています。その他の地震断層も災害教訓を学ぶ重要性から数多く保存され、各地域の地質をテーマにしたイベントホールでの展示や事例紹介も行われています。

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    活断層や中央構造線は、学術上貴重であり、国や県は天然記念物に指定し、調査や保存をしているものがあります。ここでは、岐阜・静岡・三重・愛知県で活断層や中央構造線を観察できる場所を紹介します。

  • 【岐阜県本巣市】地震断層観察館・体験館(国指定特別天然記念物「根尾谷断層」)
    明治24年の濃尾地震で出現した根尾谷断層を地表と地下から観察できます。
  • 【静岡県田方郡函南町】丹那断層公園(国指定天然記念物「丹那断層」)
    昭和5年の北伊豆地震で出現した丹那断層を地表と地下から観察できます。
  • 【三重県松阪市】月出露頭(国指定天然記念物「月出の中央構造線」)
    大規模な中央構造線の一部が露出しており断層を観察できます。
  • 【愛知県額田郡幸田町】深溝断層(愛知県指定天然記念物「深溝断層」)
    昭和20年の三河地震で出現した深溝断層を地表から観察できます。

  • 国指定の特別天然記念物及び天然記念物は以下のとおりです。(平成29年12月時点)
  • 国指定の特別天然記念物
  • ・ 根尾谷断層〔岐阜県本巣市〕
  • 国指定の天然記念物
  • ・ 千屋断層〔秋田県仙北郡美郷町〕
    ・ 大鹿村の中央構造線(北川露頭・安康露頭)〔長野県下伊那郡大鹿村〕
    ・ 真川の跡津川断層〔富山県富山市〕
    ・ 横山楡原衝上断層〔富山県富山市・岐阜県飛騨市〕
    ・ 丹那断層〔静岡県田方郡函南町〕
    ・ 月出の中央構造線〔松阪市〕
    ・ 郷村断層〔京都府京丹後市〕
    ・ 神戸丸山衝上断層〔兵庫県神戸市長田区〕
    ・ 野島断層〔兵庫県淡路市〕
    ・ 押ヶ垰断層帯〔広島県山県郡安芸太田町・廿日市市〕
    ・ 船佐・山内逆断層帯〔広島県安芸高田市・三次市・庄原市〕
    ・ 砥部衝上断層〔愛媛県伊予郡砥部町〕
    ・ 水縄断層〔福岡県久留米市〕

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    活断層Q&Aリンク集

    活断層とは?

    その他用語の定義

    活断層について

    活断層が起こす地震について

    地震の発生確率、予知・予測

    地震への備え

    出典一覧

    1. 地震本部 よくある質問
    2. 地震本部 パンフレット「地震がわかる!」
    3. 産総研(活断層データベース)
    4. 地震学会ホームページ
    5. 気象庁
    6. 気象庁パンフレット「活断層の地震に備える -陸域の浅い地震-」

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